<CIDPについて>
・その他:初めて免疫グロブリンの大量静注(IVIg)を受ける方へ(2007/2/19)
CIDPには効果の確認された治療法が幾つかありますが、現在では多くの場合、免疫グロブリンの大量静注(IVIg)が治療の第一選択肢にされています。その理由は、早い時期に効果がでること、明らかな改善例があること、血漿交換のような特別な設備を必要とせず点滴で簡単にできること、副作用が比較的軽いこと、他の疾患との鑑別が必要とされるときIVIgの治療効果によって診断を裏づける手がかりになること、などによります。
★<方法> 体重1kgあたり400mg/日を5日間連続で静脈に点滴し、これを1クールとするのが基本です。症状の程度によって、間をおいて2クール以上投与する場合もあります。
例:体重50kgの人の場合、1日の投与数は8本(小さい瓶の場合)、1クールで40本となります。
★<効能> 筋力改善に特に効果があります。平均するとおおよそ9日後に改善が現われはじめるとの報告がありますが、点滴期間中に効果がすぐに発現する人もいれば、1箇月ほど経ってから効果が現われはじめる人もいます。効果のピークは4〜6週間後といわれています。ただ、効果の持続期間が短いのが難点で、再燃を防ぐために多くの場合その後、副腎皮質ステロイド剤(プレドニゾロン)の内服を始めます。
★<作用>免疫グロブリン(抗体)は、人間の血液や体液中に含まれており、主に細菌やウィルスなどの病原体を体内から除去し、感染症から体を守る働きをしています。免疫グロブリン製剤は、健康な人の血液から抗体成分(ガンマグロブリン)を集めて濃縮したものです。その作用機序は、まだはっきり解明されていませんが、炎症を引きおこすもとになっている自己抗体を中和させたり、炎症反応の進行を抑制したり、免疫細胞の機能を調節するなどの複数の効果があり、これらが共同して免疫系全体に働きかけ、免疫機構を良い方向に調節する作用があります。
★<副作用> 副作用としては、発疹、水疱、頭痛、発熱、悪寒、紅潮、肝機能障害などがあります。ごく稀にですが、アナフィラキシー・ショックや無菌性髄膜炎、血栓塞栓症などが起こる場合があり、このような場合は直ちに点滴を中止します。副作用をできるだけ防ぐために、ゆっくりした投与速度で点滴します。
★<注意点> 免疫グロブリンは、血液製剤です。このため、血液に由来する感染症や未知のウィルスによる感染症の危険性を100パーセント完全には否定できません。日本国内で使われている免疫グロブリン製剤は、国内で採血された血漿成分を原料とし、精密な検査と処理を経たもので、現在までのところHIVや肝炎ウィルス等の感染症の報告はありません。CIDPのほかに、無または低グロブリン血症、川崎病や突発性血小板減少性紫斑病、重症の感染症などにも使われています。免疫機構の調節作用を期待して、近年、他の自己免疫疾患の治療にもIVIgがなされています。
★<費用と「高額療養費制度」の利用のすすめ> 免疫グロブリンは、CIDPに対して1999年に保険適用されました。しかし、それでも非常に高価で1本が3万円弱します。このため、1日8本連続5日間投与したとして、保険3割負担で40万円近くもの費用がかかることになります。
1ヶ月の医療費が限度額を超えると高額療養費として、超えた分の医療費が返還される「高額療養費制度」があります。これまでは、いったん自己負担分を支払い、その後自分で返還の手続きをする必要があり、約3ヵ月後に超えた分の額が払い戻されるという仕組みでした。 2007年4月より、この制度が変更になり、限度額分のみ会計窓口で支払えばよくなりました。事前に「認定証」が必要となりますので、「高額療養費制度」が必要となる場合には、ご加入の健康保険担当窓口に申請してください。
★<補足:包括医療制度の影響> 包括医療制度による医療費算定に伴い、大学病院をはじめとする一部の医療機関では、IVIgを入院ではなく外来で行う方針をとりつつある現状を耳にします。しかし、病状や体力的な負担、安全性や心理的な面から考えても、必要な患者、特に初回投与時には入院で受けるほうが望ましいのは事実です。この制度がIVIgを必要とする患者にとって不安と危惧をもたらすことのないよう、また医療機関も採算の面で不利益を被らないですむ方策はないのか、取り組みを考えてまいりたいと思います。
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